壺屋の路地裏で琥珀色の夢は世界へ溢れる
壺屋の路地裏に越してきてから、
温故知新、ボーダーレス、鋭くてゆるい。
そんな言葉をぼんやりと浮かべながら、
「共存共栄の街のありかた」を夢想しています。
壺屋界隈は壺屋焼の窯元や古い商店街に加えて、
近年、古書店やアートギャラリー、専門店等
様々な個性的なショップが賑わいをみせていて、
沖縄では数少ない「人が良く歩く」エリアです。
複合的な商業施設や、現代型の消費社会に
イタズラに競争心を煽られるのではなく、
街場の商人や職人は、店や時代を「探求する余裕」や
個人商店、専門店ならではの「違いを見極める楽しみ」を
提案していく事が望ましいのではと考えています。
「今日は何が食べたいか、何が飲みたいか」
「何を想いたいか、何を見つけたいか」
そんな等身大の感覚と真っ当に向き合える街に、
人は引きつけられ足を運ぶのではないでしょうか。
『ワタシはどんなヒトなのか』という
十人十色の溢れる衝動や物語が、
「街から人々へ、人々から街へ」と
心地良い循環を生むのではないかなと思います。
OKINAWAのつらく明るく力強い感情に満ちた歴史や、
賑やかで多種多様に彩られた食、工芸、芸能文化が
真に世界中の陽にあたる日を夢想しています。
日本人がポートランドやN.Yの街に憧れるように、
世界中の人々が、沖縄という小さな島を、
「面白い外国人の面白い街」と憧れるようになったら、、、
そんな想いをメディアをはじめ、様々な職種の人々が共有し、
誇りある街を発信できたら、素晴らしい事だと思うのです。
さて夢見がちな僕の珈琲が壺屋の街から世界のどこまで溢れるか。
心をそっと映し出すような美しい一杯を、丁寧に、誠実に。
2016年も、みなさまどうぞ宜しくお願い申し上げます。
そして今日も一杯の珈琲を大切に。
●MAHOU COFFEE
www.mahoucoffee.com
〒902-0065
沖縄県那覇市壺屋1-6-5
Tel 098-863-6866

山㟢明央Akio Yamazaki
1980年東京生まれ。
幼い頃から、職人やアーティストの創る
何も無いところから生み出される世界観に引きつけられる。
珈琲抽出を生業にする覚悟を決め、
2011年宜野湾市に魔法珈琲をオープン。(2015年閉店)
2015年那覇市壺屋に
「古き善き深煎り珈琲とエスプレッソの店」MAHOU COFFEEをオープン。
「珈琲抽出屋」の独自視点で、誰もの心身にすうっと沁み入る一杯を追求する。
趣味はサッカー、旨い酒。
- 次回の書き手は
- 金城太生郎さん