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第 38 話

僕が珈琲を点てつつ思っていること

[今回の書き手]久高悠三さん
2015.10.01

「モノレールの美栄橋駅から県庁前駅の方に歩いてきて
 一銀通りより少し手前にあるガラス張りのトコロです・・・」

とある場所を説明する時、若者にはこう言います。

「電波堂ビルの川をはさんで斜め向かいのトコロです・・・」
 とある場所を説明する時、年配の方にはこう言います。


とある場所・・・
そこが僕の仕事場であり
1日の約2/3を過ごすトコロ
久茂地リバー沿いの小さい珈琲屋
「たそかれ珈琲」
です。


朝6時に来て植木に水をやり
ヨガをして体と頭をほぐし
昨晩練っておいたパンを整形して
型に入れ二次発酵へgo
そして
珈琲豆を焙煎する・・・


そのあと
パンを焼き
サンドイッチの具やケーキの仕込みをしたりして
13時に開店
そして・・・
21時に閉店
片付けをし、
ブログを更新し
お酒を片手にギターを弾いて1日が終わります。

日々この繰り返しです。


その繰り返しの中で
繰り返して思うコトがあります。
そう
珈琲を点てつつ思っているコトが・・・・・・

この店で誰かの人生を変えてやろうなんて
おこがましいことは思ってません
ただ、
店に来た時よりも店を出て行く時に少しでも気持ちがあがってくれたらいいなぁ
とは思っています。

店に来てくれた人が
ニコニコしながら大切そうにサンドイッチを食べる姿や
ひと口珈琲を飲んで「ふー」っと一息ついて
なんともおだやかな表情をする姿を見ると
「このお店をやってよかったなぁ
自分は間違ってなかったなぁ」
って思わせてもらえます。

そんな時
粋な一声でもかけられれば良いのですが
僕はあまりおしゃべりではありません。
でも特に言葉を交わさなくても同じ空間にいるってだけで
伝わるサムシングがあるって信じています。

何が自然体で無理なく続けられるかを考えています。
とにかくこのお店を長く続けるためには
どーすればよいかを考えて色々と決めています。

始めた時よりもメニュー数がへりました。
これからも年を重ねるにつれて徐々に徐々にへらしていって
おじぃちゃんになったら「珈琲」だけで営業をするのが目標です。

メニューは自分が感動したメニューだけをうたっています。
自分が感動しないものを
人が感動するとは思えないし
1つ1つの商品にちゃんと「思い」と「ストーリー」があれば
それは作品になるんじゃないかなと思っています。

でも
モノがヒトを呼ぶのはほんの一瞬で
結局はヒトがヒトを呼ぶのだと思っています。
これ、
大声では言うのはまだ恥ずかしいのですが
いつか大声で言えるようになりたいと思っています。

「僕のやりたいこと」と「誰かの喜び」が比例すればいいな
とは思っていますが
誰かに評価をくだされたくてやっているわけではありません。

たそかれ珈琲では
何よりも「居心地」を重視しています。
なんなら「味」よりも「居心地」の方が大事だと思っています。
そのためには
まず自分がゴキゲンである
とゆーことがなによりも重要だと思っています。
キゲンは伝染すると思っているからです。

僕は誰にも頼らず自分の気持ちが上がるいくつかのコトを知っていて
定期的にそれを自分に与えてゴキゲンを保てるようにしています。

営業中のBGMはレコードをかけています。
レコードはひっくり返す手間があるので
立て込んでいると無音になる時があるのですが
その手間や無音を楽しんでもらえるようなお店になったらいいなと思っています。

「好きな音楽を1日中聞いていたい」
とゆー思いから
僕はそれなら珈琲屋をしようと決めました。
職業よりもどうゆう人生を送りたいかを考えました。
おかげで今は日々がとても楽しいのです。

理想の生き方を形にして仕事として続けられることができる
とゆーことをしっかり見せたいと思っています。

二十歳の頃に太郎さんの本に出会い
それからは
迷ったら常に困難な方 (勇気のいる方)を選ぶようにしようと決めました。
そうしたら
そっちを選んだ方が後々かならず良かったと思える
とゆーことを学び
これによって
「メンドくさいからやらない」
とゆーコトがなくなりました。

ムダだと思うことでも
「理想」があるのならとりあえずやってみることにしています。
あとで何かしら別のことと繋がって役に立つ時がくるし
とにかくやってみたことはたくさんあればあるほどよいかなと思っています。
捨てたものの多さがアイデンティティーとなるのではないでしょうか。

理想が見えたらそこにたどり着くまでやめません。
「苦労すればするだけ褒められた時の喜びが倍」
だと知っているからです。

何かを始める時は
まず
ノリでアイデアをたくさん出し
つぎに
ノリだけでなくよーく考えて計画をねり
最後に
ノリノリで実行するようにしています。
そしてどの段階でも
俯瞰して自分を見れる感覚を持つように
と思っています。

他の場所じゃできないこと
この場でしかできないことはなにか?
他の誰にもできないこと
自分にしかできないことはなにか?
をしっかり考えるようにしています。

100人のうち10人が店を気にいってくれればいいと思っています。
そしてその10人のうちたった1人でもいいから
気持ち悪いぐらいにこの店を愛してくれればいいなと思っています。

あーだこーだ_言ってますが
いつも自分の考えをちゃんともって
そしてそれを疑い続けるようにしています。
「1つに決めつけてしまうとそれ以外では生きづらくなるからです」
と、決めつけたりもする矛盾
それをも受け入れられますようにと思っています。

「たそかれ」には夕方の時間帯をさす意味とともに
「あなたは誰ですか?」とゆー意味があります。
これは
1番オモシロくて1番メンドくさい
「人とのつながり」
を大事にしたいとゆー思いからつけました。

今まで出会えたヒトが1人でも欠けてたら今の僕はいないし
だれかが歴史上で珈琲を発見してなかったら今の僕の仕事はない。
それよりもまず
地球って星がなければこの仕事は成り立たないし
生きているからこそ、こんなことを考えているのですね・・・

そんなことを思いつつ
さぁ今日も珈琲を点てよう。

たそかれ珈琲
久高悠三

●たそかれ珈琲
http://d.hatena.ne.jp/kudakayuzo/

IMG_0242.jpg

久高悠三さん
久高悠三Yuzou Kudaka

たそかれ珈琲 店主

1982年生 那覇市出身
2000年  東京へ行く
2007年  沖縄へもどる
2012年  那覇市久茂地川沿いにたそかれ珈琲開店

次回の書き手は
戌亥近江さん

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