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第 34 話

販売から生産へ

[今回の書き手]呉屋麻子さん
2015.06.01

「まず、やってみ!」

って師匠に促され乗ったトラクター。
畑で土を耕すときに使う大型の耕運機。
軽トラックのギアチェンジもいまだ難しい私に
大きい乗り物を運転させてくれる方がいます。

ハイタイ!
私はインターネットを通して沖縄の商材を
全国へ向け販売するネットショップをしております。
トラクターもカマも草刈機も
私の仕事ではパソコンと同じくらい農具が必要不可欠です。

9年前ネットショップをはじめた当初からお付き合いがある
一人のパイナップル農家さんがいまして(勝手に師匠と思ってます)。
当初、収穫時期だけ畑へ出向き
農家さんが一生懸命育てたパインを仕入れて売るだけ。

20キロのパインが入ったカゴが何ケースか一箇所に集められ
私たちが引き取りにいく。
収穫に忙しい農家さんが一旦その場所を離れた隙にカラスに突つかれないよう
毛布やゴザなどを丁寧に被せてありました。

通っているうちだんだんと自分達になんだか違和感が出はじめ
作物のバックグラウンドや、作る面白さや大変さを伝えることなく
売れれば何でもいいのかという自分たちのやり方に疑問が湧いてきました。
(なんか身勝手だと感じてしまったのです)

農家さんはその頃約20トンのパイナップルをたった一人で生産していて
親しくなるにつれ農家さんの悩みにも直面するようになり
やるひと(後継者)がいないから規模を小さくしようかと思ってるさ~と。

農家さんはさらっと言いましたけど
自分たちは売るだけではなく生産にも携わらないと!
だったら何か出来ることお手伝いできることはないかな・・と
一次産業に興味がでてきたのがその頃でした。

思い切ってこの方に一緒に作らせてくださいと伝えたら
お前たちが出来るわけないだろ!簡単じゃないよ!
って言われると思ったのですが・・

「まず、やってみ!」

しかも

「お前たちなら出来るはずよ!」

って。
嬉しかった~!仲間に入れてくれたような気がしてほんとに嬉しかった。

それからはパイナップル師匠のもとで
土作りから苗植え、収穫、あらゆる技術を惜しげもなく教えてくださり
毎回作業のあとは日が暮れても
近くの海辺で涼みながらワイワイ語りあったり。

沖縄には長年良いものを作っている農家さんが
たくさんいらっしゃると思います。
農家さんには先生になってもらい、
農業をやりたい方が集まり、
熱い想いと技術を教えてもらう。
そういうのがどんどん回っていけばいいなーと思います。

パインだけではなく
他にもお付き合いがあるいろんな専門の農家さんがいますので
私たちにとってはみんな師匠。
自分のお店で取り扱う作物はどうやって作るのかなど
勉強させてもらってます。
ずっと農業をされている方からすると私たちはまだまだだと思いますが
作っている方に少しでも近づきたいのです(というかなりたい!)。

自分の店で取り扱ってるものって自分が大好きだからだし、
プラス作り手の人柄とか
作物が育って収穫までの様子なども大勢の人に伝えられるのが
インターネットの醍醐味ではないかなと思ったり。
販売だけでなく生産もできるスタイルが一番自分たちらしいしと思ったり。

そんなこんなでお手伝いから始めた農業ですが
今自分たちの畑を持つことが決まりました。
まだまだ師匠らに比べると小さい規模ですが
パイン師匠はじめそのほかの師匠からの教えをもとに
まずはこの小さな場所でやってみる機会がきました。
もーっ!ワクワク感全開です!

そしてこれからも変わらず師匠らのもとでの作物作りも継続しながら
パソコンと農具と共にインターネットを通して
全国に沖縄のいいもの、うまいものを販売する生産者になりたく
修業中でございます。

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師匠が見守るなか畑の整地中

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作ることの楽しさと喜びを教えてくれた師匠

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高校生にインターネットの可能性を伝えるお手伝いをさせていただきました

呉屋麻子さん
呉屋麻子Asako Goya

中城村出身。両親、兄弟、見渡す限りの親戚一同自営業をする者はなく、将来自分で仕事を持つことや、ましては畑仕事をするなんて夢にも思わなかった人。
パートナーと仲間と共に立ち上げたネットショップ「沖縄うまいもの屋!長浜商店」で店長をしながら絶賛ハルサー修業中。

次回の書き手は
小倉英三郎さん

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