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第 29 話

島どうふ道

[今回の書き手]瑞慶覧宏至さん
2015.01.01

「とうふ屋さんって朝早いでしょう?」
初めて会う方には必ずって言うほど聞かれます。

僕「そうです。早い人で午前1時半には出勤してくるんですよ。
僕は社長出勤で5時ですけどね(笑)」
と言う具合に話が始まります。

「とうふ屋さんの仕事は朝が早い」
不思議とみんなわかっているのです。
なぜかと言うと
今日作った出来立てのおとうふを食べてもらいたいからです。

午前1時半・・・
昨日水に浸けていた大豆を手に取り二つに割って大豆の状態を見てから、
とうふ屋の一日が始まります。
大豆をすり潰し、それを搾ると「豆乳」と「おから」に分かれ、
その豆乳を大きな釜に流し込み、
豆乳を直火で温めると次第に白い湯気が立ち、
だんだん時間が経つにつれ工場の中がおとうふの香りでいっぱいになります。

熟練された職人が慣れた手つきでにがりと塩を打ちます。
次第にふつふつとゆしどうふになり、
それを型箱に入れ、圧縮すると島豆腐になります。

そのおとうふたちが夜明けとともに朝一番に出発します。

僕が生まれた頃から実家がとうふ屋で、
もちろん両親、おばーが働いている姿を見て育ちました。
小学校6年生の時の夢は「何もせず、平和に暮らすこと」・・・。
これといって夢がない少年だったので、
とうふ屋になるなんてこれっぽっちも考えていなかったですし、
むしろとうふ屋の子供ってことが恥ずかしく、
あまり人に言いたくなかったぐらいでした。
それから数年がたち社会人となりいろんな仕事をし、
美容師を目指し県外で約8年暮らしていました。
その中で26歳の頃友達と飲食店の経営を経験することもできました。

なんだかんだで、沖縄に帰り、実家の家業を継ぐと決め、
いまでは有限会社池田食品の3代目として日々勉強しています。
島どうふは僕にいろんな事を教えてくれ、いろいろな人に出会わせてくれました。
沖縄の文化、技、知識、理念、使命、そして人。
今では全国のとうふ屋さんと交流し
情報交換や技術や知識を得るため各地を飛び回ってます。
僕のパートナーである妻の麻紗美に至っては
島豆腐をメインとした「CAFÉソイラボ」を12月12日オープン。
これからも池田食品のみんなとソイラボのみんなと共に
島どうふの魅力を伝え続けていきたいと思います。

普天間小学校での食育活動の様子。

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瑞慶覧宏至さん
瑞慶覧宏至Hiroshi Zukeran

1983年沖縄県中頭郡西原町生まれ。3人兄弟の二男・末っ子。うーまくーな時期を経て夢は美容師!夢を叶えるべくいざ福岡へ!なんだかんだで飲食店業界に飛び込み26歳で知人とダイニングバー「ZOU」をオープン。その一年後実家の豆腐屋を継ぐため沖縄に戻り現在三代目としてとうふまみれな日々を奮闘中!

CAFÉソイラボ
沖縄県西原町字池田86-1
営・9:30〜16:00 休・木曜

次回の書き手は
幸喜朝子さん

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