第 12 話

自問自答

[今回の書き手]山城豊さん
2013.08.01

台湾と関わる事をしようと始めたこの仕事。

「台湾茶のお店をしようと思ったきっかけは?」
この質問への答えは「台湾が好きで」

次に来る質問は大体のところ「台湾のどういうところが好き?」
そして「近い。食べ物が安くて美味しい。」などと答える。

喋るのがあまり得意ではない表現ベタが手伝って、いつも簡単な答えで済ませてしまう。

でも、実のところのきっかけは・・
「台湾が好きで」というよりも、
「沖縄が好きで」と言うほうが自分の中では納まりがつくのだ。

しかし、台湾茶のお店を始めたきっかけが「沖縄が好きで」と言うと
えっ!?となり、
その後の説明がこれまたうまくできない。

台湾は好きだし、台湾と関わる仕事がしたいと思ったのはもちろん本当のこと。
でも、好きな場所や国は他にもたくさんあるし、やりたいことだって他にも山ほどある。

初めて台湾に行ったのは20年程前。
近くて安い、時差がさほどない。ただそれだけの理由で行き先に決めた台湾。

行ってみて衝撃を受けた。
衝撃といっても素晴らしかったからというだけではなく、
イイも悪いも、沖縄からたった1時間のところにこんな場所があったということに。

オキナワってこの先どうなって行くんだろう・・。
本土の背中を追いつつも、追いつけないし追い越せない感。
同時にいろんな大切なものを失っていっているような感。
その失ったものは多分、取り戻せないであろう感。
そんなことをいろいろと考えていた頃の台湾との出会い。

島国というところや歴史的背景もどことなく沖縄と似ているようにも思う台湾。
しかし、台湾は「新旧をうまく調和させ独自に発展、『自立』している国」。
そんな風に私の目に映ったのだ。

そこから思い始めたのが、
台湾から学べるものってたくさんありそうだな。
一人でも多くの人に「台湾を見てほしい」
そして、1人1人が台湾で見たものなにかを持ち帰れば
なにか沖縄の為になるんじゃないか・・。

その、「なにか」とは、とてもぼんやりとしたもので、
今もよくわからず自問自答の20年。

自分でもよくわかっていない分、
押し付けることなく自然な流れで台湾に興味をもってくれたらいいな的な10年。

そして今年、
少し押し付けてみてもいいのかなと思い立ち台湾ツアーを敢行。

それでもやはり、「なにか」はまだまだわからない。

その「なにか」がなんなのか・・・
わかる日が来るのか、それとも来ないのか・・・

もしもわかる日が来たなら、
「台湾茶のお店をしようと思ったきっかけは?」の問いに
「沖縄が好きだから」、
「沖縄の為に!」、またその後の質問にも自信をもって答えられそうな気がする。

まずは「台湾に興味をもってもらうきっかけを」との思いからスタートさせたお店。
これまで、この店をきっかけに
どれだけの人が台湾に興味を持ち、または足を運んだのか。

地味で小さいものかもしれないが
そんなきっかけ作りを今後も提供していければと思う。

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流求茶館に並ぶ台湾茶

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今年敢行した台湾ツアー

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台湾の向こうに沖縄は見えたか?

山城豊さん
山城豊Yutaka Yamashiro

1974年 沖縄県豊見城市出身。
2004年に流求茶館を開業。

次回の書き手は
新崎一美さん

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