1. TOP
  2. エッセイのリレー
  3. わたしの旅
第 15 話

わたしの旅

[今回の書き手]安里ミカさん
2013.11.01

わたしは旅行が大好きです

飲食店をしようと思ったのも
長期の旅行に出て毎日外食をしている中で
居心地のいいお店に出会うと嬉しくなるからです

12年前、姉とお店を開く準備を始めた時のことです
いざ開店すると飲食店の仕事量に驚かされました
初日の夜、洗い物と仕込みに追われ夜中の3時にずぶ濡れで泣きながら
「一度閉めよう」。姉と決めました
それを一緒に働いてくれていた人に伝えたら
「仕事がしか仕事を教えないから閉めたらダメ!」
と言われ泣く泣くお店を続けました
その時やめていたら自分達の要領の悪さや飲食店の楽しさを知る事もなく
違う仕事についていたかもしれません
ありがたい

産まれてこの方一度も移住経験が無いわたしは
常に他の土地に住む事に憧れ続けていました
高校を卒業したら東京の学校に行こうと決めていましたが
のんびりしてる間に卒業してしまい
そのまま仕事を始めたのでなんとなく移住のチャンスを逃してしまったので
代わりに長期の旅行に出るようになりました

よその土地に行くと空気や植物、建物、人、文化の違いに
「こんな日常を送ってる人がいるんだ!」と感動して移住を妄想しますが
沖縄より寒い所には住めないし
暑い所も無理だと思うとどこにも行けないまま38年が過ぎました
最近は、旅行からの帰り
那覇空港に降りた時の湿度の高いまとわりつく様な空気にすごくホッとしました
フランスに一ヶ月行った時には
乾燥で口の周りが真っ白に粉を吹き
こんな恥ずかしい顔であんなおしゃれな街には住めないなと肌で感じました
結局この場所が合ってるんだなと感じた瞬間でした

沖縄はいろんな人が遊びに来たり移住してくる場所で
わたしが動かなくても沢山の出会いがある嬉しい場所
その分去っていく人も多いのですが訪ねる楽しみもあります
まだ出会ってない楽しい人達の出会いを心待ちに
わたしはずっと沖縄で店をやり続けるのかもしれません

___1.JPG

___2.JPG

___4.JPG
日常にちらばる小さな旅の記憶

安里ミカさん
安里ミカMika Asato

山城ミカ
1975年沖縄市生まれ。三姉妹の末っ子。
沖縄市の丘の上のRoguiiを旦那さんとスタッフで運営中。

次回の書き手は
関根麻子さん

おすすめ記事

ページトップへ