増田良平さんの器

2020.08.31

草野さん作家_C3A9936.jpgのサムネイル画像

モノづくりってもちろん基本の作り方はあると思うけど、ときに常識にとらわれない発想から新しいモノが生まれるってことを、増田良平さんの器は教えてくれる。


器の表面をキャンバスに仕立てて、かわいらしい絵を描いたり、水色や黄色など陶器ではあまり使わないような明るい色を使ったりと、独自性に富んだ世界で楽しませてくれる増田さん。

デザインもさることながら、表現の方法が斬新でいつも驚かされる。娘が愛用している雨の雫のような模様がかわいいこちらのお皿もそのひとつ。一見、筆で描いたようにも見えるけど、これ実は、切り絵のように紙を雫の形に切り取り、そこに色土を塗り、成形した器に貼り付けて転写させているのだ。よく見ると、雫の形がちょっとカクカクしていて、ハサミで切ったのが分かる。筆で描けばもう少し簡単に、よりリアルに表現できるかもしれないが、切り絵にしたことで、手仕事ならではのぬくもりとともに、ちょっと懐かしさも感じた。それは、おそらく紙を切ったり貼ったりして工作を楽しんでいた子どもの頃の自分と、増田さんがものづくりをする姿が重なったのかもしれない。

発想や視点を変えるだけで、全く新しい世界が生まれる。増田さんの器を眺めていると、「表現の可能性って尽きない」ってことを実感させられる。

ジャンルは違うけど、自分は雑誌を作っている。長年続けていると、ルールにとらわれてしまい、前のものを習って作ろうと思いがちになる。でも、増田さんのモノづくりの姿勢を見習って、常識にとらわれない、ちょっと視点を変えた企画に改めて挑戦していきたいと、思っている。

  • 文・ 草々草々

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