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ほんのり、じんわり幸せな気持ちになれる本

2018.02.01

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もうすぐ沖縄は旧正月。2018年は2月16日ですね。
よく言われることですが、沖縄で暮らしていると、「今年はウークイ(お盆の最終日、ご先祖様をお見送りする日)いつだっけ?」なんて言いながらふつうに旧暦カレンダーを確認することがよくあります。沖縄で発行されている手帳には必ず旧暦が書かれていますしね(代表的な旧暦行事の日にちが国民の祝日と同じように書かれているものも多いです)。

そんな旧暦のある暮らしをていねいにまとめた本が昨年(2017年)末に出版されました。白井明大さん著『福を招く旧暦生活のすすめ』です。
白井さんといえば、静かな旧暦ブームを呼び起こすきっかけとなった『日本の七十二候を楽しむ -旧暦のある暮らし-』の著者、といったら「あぁ!」と思う人も多いかもしれません。ちなみに、おきなわいちば59号「日々の写真」で取材させていただいた當間妙さんのだんなさんでもあるんですよ。

序章を含めて全8章からなるこの本は、最初に旧暦がどんなものか、という基礎知識から始まって、「福を招く」「恵みをいただく」「良縁を願う」などのキーワードで章立てされています。
「良縁を願う」の章にあったのは、七夕、菊枕、恋教え鳥、十三夜、初時雨と紅葉という項目。そこに書かれているのは、例えば9月9日の菊の節句は、この日に摘んだ菊を干して詰めた枕を女性が愛する男性に贈る日だったこと、この枕で眠ると愛する人が夢に現れると言われていたことだったり、9月中旬の「鶺鴒(せきれい)鳴く」と呼ばれる季節にちなみ、セキレイは、神様が恋の手ほどきを学んだ鳥だったことからが「恋教え鳥」と呼ばれたなど、興味深くて面白いお話。

旧暦のひとつひとつの行事を意識すると、季節のちいさな変化に敏感になれて、それは暮らし自体を慈しむことにつながる。日々を幸せな気持ちにしてくれるきっかけが、旧暦のなかにはたくさんあるんだと、この本を読んで思いました。

実はこの本を読んだのは仕事が忙しさのピークを迎えるタイミングだったのですが、読み始めたら昔の暮らしに思いが飛んで、ちょっと夢見心地に。気持ちがゆったりしてきて忙しさをすっかり忘れてしまいました。ただ、現実の時間に気づいたときはいろんな意味で目が覚めましたが・・。
でも、忙しさの合間に読むと、ちょっとゆとりのある時間に連れていってくれるのでおすすめですよ。

この本を最初に見たとき、なによりもその装丁のかわいさに手が伸びた私。月の満ち欠けと、切り絵のようなイラストで描かれた植物と鳥があしらわれた表紙。あたたかみのある質感のある紙に、シンプルな色使いのデザインと、第一印象がとにもかくにも、かわいいのです。正方形に近い版型も、印刷にかかわる仕事をしている身からすると「(この装丁と内容なら)ですよね!」といいたくなる感じ。そんな楽しみ方もさせていただきました。

暦をちょっと気にかけると、暮らしの中で見えてくるもの、感じるものがきっと変わってきますよ。

『福を招く旧暦生活のすすめ』
白井明大著/サンマーク出版

  • 文・ 山山山山

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