お気に入りの作家もの 「Atelier sakuさんのリング」
つけた瞬間、「私の指のためのリングだ」と思った。そうしてこの子は私の元にやってきた。幼い頃の指をポキポキ鳴らす癖がよくなかったのか、私の指は女性らしい細くて綺麗な指ではなく、かといってコンプレックスになるほど太くもなく、関節だけが少し膨らんだ変なかたちをしている。だから自分の指にぴったり合うリングはなかなか見つからず、いつも身につけているのはちょっと小さめか、ちょっと大きめものだ(そのためかよく失くす)。
Atelier sakuさんのリングは、少し特徴的な私の指に、見事に馴染んで収まった。その時初めてはめてみたのに、なんだかずっと前から持っていたようなそんな不思議な感覚があった。
ちょうどその頃ほしかったのは「シンプルだけどインパクトのあるアクセサリー」で、なかなか難しい注文だなと自分でも思っていた。だから一生懸命探すのはなく、出会える日を気長に待った。
そしてやっとその日が来た。シンプルながらも、金属を叩くことで浮かび上がった凹凸の表情がなんともいい味を出している。そしてリングの幅が細すぎず、コーディネートのアクセントになるような印象的なデザインだ。
でも躊躇する点が一つだけあった。それは素材が真鍮ということ。身近なもので真鍮が使われているものといえば5円玉。すぐに錆びて色がくすんでしまいがちなイメージがあった。現に私の母が持っている真鍮のピアスも購入して1年で変色してしまった。それを素直に店員さんに話してみたら、真鍮の手入れには重曹を使って歯ブラシで磨くといいと教えてくれた。なるほど!と驚いて、気づけば隣にいた母もデザイン違いの真鍮のリングを持ちレジに並んでいた。
手入れも楽しみながら大切にするので長いお付き合いをよろしく、とリングに挨拶をし、私のお気に入りの一つになった。