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お気に入りの作家もの「小泊良さんのマグカップ」

2020.09.16

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小泊さんのこのマグカップとの出会いは、今から10年以上も前のこと。本誌で連載していた「あさこさんのおうちレシピ・冬の食卓編」(vol.24掲載)で、あさこさんが「今回は小泊さんに会いに行きたい」と言ったのがきっかけで、今帰仁村の小泊さんの自宅兼工房におじゃまして、陶芸体験をさせていただいたのだ。その時作った器は恥ずかしくてお見せできないが、仕上げは小泊さんが整えてくれたので自分で作ったとは思えないほど素敵なものになり、私にとってはちょっとした宝物になった。

ところで、あさこさんとは、南城市玉城の小さな料理店「料理 胃袋」の店主、関根麻子さんのこと。当時は宜野湾市嘉数で「CAFÉ+MORE オウチ。」というカフェを営んでいた。約2年続いたこのレシピの連載は、ただ料理を紹介するだけでなく、毎回あさこさんと一緒に「次は何にする?」と企画を考え、あさこさんの得意な保存食の作り方やお気に入りの雑貨を紹介したり、時にはお店を飛び出してやんばるの森に「名前のない料理店」の小島圭史さんの案内で(しかもお弁当を作ってきてくれた!)野草を摘みに行ったりと、私にとっては忘れられない大切な思い出がいっぱい詰まったものだった。

小泊さんの工房を訪ねた時、あさこさんは朝からとても興奮していた。そして「小泊さんの器って、どんな料理にでも合う器じゃなく、器が主役。だからこそ、さて何を作ろうかって思うとワクワクするんです」って話していたのが印象的。一方、小泊さんはあさこさんが自分の器を使っているのを見た時「自分のイメージを絶対的に超えていて、刺激を受けた」と。ああ、これってなんていい関係なんだろう。取材をしながらそんな二人にすっかり魅了されてしまったことを思い出す。

前置きが長くなってしまったけれど、私と小泊さんのマグカップとの出会いはこんな感じ。でも、実を言うと私は普段はどちらかというとシンプルでベーシックな形の器が好きなのだ。それなのにあの日、小泊さんの工房でユーモアと遊び心がいっぱい詰まったこのマグカップを見た時「欲しい!」と一目惚れ。特に特徴的な持ち手のカタチがたまらなく愛おしくて、気に入ってしまった。それ以来、ずっと、私の朝はこのマグカップで飲むコーヒーから始まっている。そして不思議なことにお気に入りのマグカップで飲むコーヒーは、いつだってとっても美味しく感じる。これって、ささやかだけれど、幸せなことでしょ?

  • 文・ ねこどしねこどし
  • 写真・平良信実

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