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おうち時間を楽しむ3冊の本(彩編)

2020.08.18

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こんにちは、彩です。人と比べたことはないけれど、本は割と持っている方かもしれません。自宅の天井まである本棚(本棚が壁代わりなんです)を眺めていると、本の内容はもちろん、その本にまつわる思い出もよみがえってきました。旅行先で買ったものやプレゼントで頂いたものなど、手に取って、特にふふふとなった3冊を選びました。

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まずは、「猪熊弦一郎展 馬と女性たち」です。
美術館に行くのが大好きな私。この図録は、神奈川県にある「馬の美術館」で行われていた猪熊弦一郎の展示会に行ったときに手に入れました。特にお気に入りなのが、ペンでささっと書かれたような作品たちです。少年のような好奇心と探求心を持っていた猪熊は、晩年、このようなシンプルな作風になっていったと言います。
私は館内を巡っていると、作品と自分の呼吸が少しずつ重なっていき、絵がすっと心に入り込むように感じるのですが、この絵を見たときに「あ、重なった」と思いました。
最近では本でも電子ブックが増えてきていますが、画集は「紙の本」としてこれからもずっと残っていくんだろうな(残したい!)と感じます。

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2冊目は、「こっこさんの台所」です。
沖縄県出身の歌手・Coccoによる季節のレシピとエッセイ、写真とときどき詩が綴られています。透き通るようなきれいな歌声に天真爛漫な人柄で多くの人を虜にする彼女は、(料理を)食べるよりも人に作るのが好きなんだそう。綴られた文章はまさに彼女そのもので、読んでいるとくすっと笑ってしまったり、悲しい叫びには共感して切ない気持ちになりました。
この本を手にとった頃の私はまだ大学生で、1カ月後に留学を控えていました。アルバイト先で出会った一回り年上のお姉さんに憧れていて、仲良くしたいけれど人見知りで話せない、でも離れる前に声をかけたくて、「この本きっとKさんが好きだと思うので」と、どきどきしながら渡したのを今でも覚えています。Kさんとは職場が離れた今でも仲良くしていて、あの時の私グッジョブ!と思うのです(笑)。

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最後の本は、「巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる」です。
シャンソン歌手だった石井好子さんが、パリ生活のエピソードを中心に書いた随筆集です。タイトルにもなっているオムレツは、夕暮れ時にマダムがバターをたっぷり入れてふるまったもの。読んでいると、あのこんがり焼けた幸せなにおいがするような気がします。
実はこの本、「こっこさんの台所」を渡したKさんから、留学に行く時の餞別にと頂きました。一緒に入っていたピカソのポストカードには、この本は彼女が移住のため沖縄行きの飛行機の中で読んだ本だということ、かさばるけれど文庫本よりも単行本のデザインの方が絶対すてきだから許してね、というようなことが書かれていて、彼女らしい思いやりがとても嬉しかったです。もちろん留学先にも持っていき、彼女にならって機内で読もうと飛行機に乗るときにはカバンに入れていますが、実はまだ半分も読み切れていません。というのも、本の冒頭に出てくるマダムが、料理上手だった私のホームステイ先のホストマザーの姿と重なり、胸がきゅんとして読むのにすごく時間がかかるんです。(それと機内では大体寝てしまうから、という理由は内緒)。

久しぶりに開いた本たちは、思い出がいっぱいつまっていて、私にとっては大きな価値のあるものでした。みなさんも「思い出の本」ってありますか?あったらこっそり教えてほしいなぁ、なんて思ったのでした。

  • 文・ 彩
  • 写真・平良 信実

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