お気に入りの作家もの「doraさんのバングル」

今年、人生ではじめてオーダメイドでアクセサリーを作ってもらった。シンプルだけど、この世にひとつだけしかない私にぴったりのバングル。お願いしたのは、真鍮を中心にアクセサリーやカトラリーを制作しているdoraさんだ。

人生でも仕事でもまだまだ新米な私。元々の性格も相まって、どこかふわっとしているというか、抜けている一面があるため、落ち着いていてしっかりとした大人の女性にとても憧れている。そんな私だがdoraさんのアクセサリーを身につけると、不思議と背筋がしゃんとして、少しだけ大人な気分になれるので、私にとってはお守りみたいなものだ。

きっとそう思わせてくれるのは、その作品が持つ雰囲気。いい感じで少しくすみがあるゴールドに、無駄な飾りを削ぎ落としたバングルや丸みを帯びた曲線の連なったピアスなどは、身につけても決してかわいくなりすぎない。でも、無機質な印象ではない。真鍮をわざとハンマーで打ち付けることでできた凸凹の表情や手触り、手作業だからこそ生まれるシンメトリーではないちょっとした歪みに、温かさを感じる。

私がdoraさんの作品にはじめて出合ったのは、まだ大学生だった頃。当時、彼女は私が通っていた大学の職員で、たわいもない話で盛り上がったり、私は留学や就職など将来の相談に乗ってもらっていた。フリマで「趣味だから」と少し恥ずかしそうに、でも楽しそうにビーズのピアスを販売していた姿を今でも覚えている。ふんわりとした外見や雰囲気に反して、しっかりと芯を持っているdoraさん。その人柄がきっと作品にも出ているから惹かれるのだと思う。

実は、このバングルはペアで作ってもらった。大切にしたいものだからこそ、オーダーメイドでお願いすることで、大満足なものになった。何かを選ぶときに信頼できる人がいるのは、とても心強いということに気づいて、また少し大人になれた気がする。

学生と職員という間柄も楽しかったけれど、今は編集者と作家。「作り出す」という点では同じ土俵に立ち、お互いを刺激し合う大好きで尊敬できる女性。そんなdoraさんの作品を、私はこれからもずっと身につけていきたい。

• 文・ 彩