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お気に入りの作家もの「小泊良さんのお皿 」

2020.05.19

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作家の器を集め始めたのは、沖縄に来てからなので、かれこれ15年くらいになる。食器棚には、料理に合わせてお皿を選べるくらいには、揃っている。それまでは工業製品を使っていたので、特に意識して器を買い集めてはいなかった。そんな自分を変えたのが、小泊良さんのお皿だった。

初めて出合ったのは、確か、宜野湾市にあった「CAFE + MORE オウチ」。少し古びた感じの外人住宅のレトロな世界にその器はみごとに溶け込んでいて、なんだかカッコ良く、そして、その器を使う店主がとても楽しそうだったのを覚えている。

それまでは器といえば、薄くてシンプルな洋皿のイメージが強かったが、テーブルに出された器は、歪んでいたり、凹凸があったり、厚みがあったりと、とにかく変わっていた。しかし、使ってみるととても手になじみやすく、なによりも料理がとてもおいしく、そして楽しそうに見えた。料理が楽しそうっておかしな表現だけど、店主が作った彩り豊かな料理たちが、踊っているかのように見えたのだ。テーブルを囲む友人も自然に笑顔となり、なんだか、空間も明るくなったように感じた。

「器は、料理を引き立ておいしくするだけではなく、食卓に笑顔を溢れさせる力もある」ことを、気付かせてくれたのが小泊さんの器だった。

それ以来、個展があると聞けば出向いて、お皿やお椀、カップなどを少しずつ集めてきた。小泊さんは、一度作った器と、同じものは作らない。作り方に工夫を凝らして、新しい器を生み出している。それはまるで、陶芸家というよりも発明家に近い。

手に取り、器の表や裏を眺めながら、「今回はどんな手法で作ったのだろうか」と想像を膨らますとき、小泊さんと語り合っているようで、うれしくなる。

数年前、地元で暮らす弟が結婚した。お祝いに小泊さんのお皿を送った。「楽しい」家庭を築いてほしいからだ。弟が使ってくれているのかはわからないが、食卓に笑顔が生まれていたら、うれしいかな。

  • 文・ 草々草々

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