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おうち時間を楽しむ3冊の本(ねこどし編集長編)

2020.05.18

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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出できない日々が続いていますが、
みなさまいかがお過ごしでしょうか?
大の旅好きの私も、予定していた旅行を全てキャンセルし、
おうちで映画鑑賞や読書を楽しみながら、「いつか旅に行く日」に思いを馳せて
毎日10回くらいため息をつきながら妄想旅行にふけっています。

というわけで、今回から毎週編集部員が一人ずつ
「おうち時間を楽しみたい3冊の本」と題して、
今の気分に合う、お気に入りの本を紹介していこうと思います。

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まずは、わたくしから。
1冊目は、2014年に98歳で亡くなった沖縄を代表する琉球料理研究家、
新島正子先生の「琉球料理」という本。
発行されたのは1971年で、定価は7ドル(2,500円)。
当時はまだ沖縄が日本に復帰する前ですね。
沖縄で編集の仕事をする中、よくこの本の話を聞き、
いつか読んでみたいとずっと思っていたのですが
もちろん普通に書店に並んでいるわけではなく、
ある日、取材で訪れた栄町市場の中にある宮里古書店で偶然見つけて
一気に興奮し、その場で購入したのでした。
内容は3部構成で、第1部は琉球料理の写真とイラストに随筆風読み物、
第2部が調理編、そして第3部は文献目録になっています。
一見、研究書のようで難しそうですが、文章がとても読みやすく、
写真がカラーというのも贅沢です。
そして、琉球料理の料理法や材料、行事や食生活のことなど、
琉球料理について書かれたもので、この本を超えるものは
やはりないのではないかと思わずにはいられないほど、充実した内容。
もし、どこかで目にする機会があったらぜひ手にとってみてください。

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2冊目は「MALAYSIA〜Recipes from a family kitchen」という
マレーシアの家庭料理のレシピ本。
この本は装丁も中の写真も本当に美しく、見ているだけでうっとり。
洋書ですがレシピもわかりやすいので、案外実用的でもあります。
今年1月にシンガポールに行った時に買ったもので、
実際、シンガポールではマレーシア料理を色々食べていたので、
「ああ、これあの時のだ」と、思い出に浸りながらページをめくっています。

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そして、3冊目。これはだいぶ昔に買った私の大好きな作家、
ポール・オースターの「最後の物たちの国で」。
「これらは最後の物たちです、と彼女は書いていた。
一つまた一つとそれらは消えていき、二度と戻ってきません」
この書き出しに魅了され、世界の終末を予感させる物語の世界に
一気に引き込まれていきます。
そして、この本が何より凄いのは、その文章の美しさ。
翻訳者の柴田元幸さんの翻訳が素晴らしいというのもあると思いますが、
本当に文章が美しくて、何度も読み返している本です。
人々は次々に死んでいき、赤ん坊は一人として生まれず、物もどんどんなくなり、
それとともに言葉も消えていく世界(あとがきより)。
今、世界が終わるわけではないけれど、こんな時代だからこそ、
この本の悲しく、やさしい寓話が心に響く。

  • 文・ ねこどしねこどし

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