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LITTAI METAL WORKSの鉄のブックスタンド

2018.03.23

_DSC9940.jpg図書館に住みたい、と今でも思っている。その夢を叶える代わりに、引っ越すとき、壁一面に工藤さん(チューイチョーク)に本棚を作ってもらった。本棚は人の心を表すような気がして、あまり人にはお見せできないが、珈琲を飲みながら、本棚の隙間が埋まっていくのを、一人満足し眺めている。

個人的には、文庫本よりもハードブックが好み。本を読み、そして棚に収納。むしろ、収納するために本を読むこともあるくらいだ。本棚に収納するときに重要なのが、背表紙のデザイン。できれば薄い本よりも、400頁ほどの厚めな本がいい。背表紙の幅が広がり、デザイナーのセンスがいかんなく発揮できるからだ。センスのいい背表紙は、購買欲を高める。正直、ジャケ(表紙)買いというより、"背表紙買い"をしてしまうことの方が多い気がする。

そして、お気に入りの背表紙の本は、デスクのブックスタンドに立てかけている。花を生けるのと同じく、本のセレクトは季節や気分によって入れ替えることをおすすめする。いつもと違った日常空間となり、ワクワクさせてくれるからだ。

ここで難しいのが、ブックスタンドの選択だ。プラスチックや木製のブックスタンドを眺め悩んでいたときに出会ったのが、LITTAI METAL WORKSの仲地研二さんが手掛けた、鉄製のブックスタンドだった。この世にこんなクールなブックスタンドがあったとは、と衝撃を受けたのを鮮明に覚えている。

仲地さんは、普段はキッチンのシンクや門扉などを手がけている鉄を扱う職人さん。その一方で風貌に負けないくらいにユニークなアイデアを持ち、鉄を使ったオブジェも手がけている。センスがよく、どの作品も装飾を極力排除し、鉄という素材の質感を活かしたシンプルなデザインに仕上げているのが特徴。このブックスタンドも溶接して変色した箇所をあえて整えていない。その荒々しさがなんとも言えない魅力となり、紙という異素材との相性もすこぶる良かった。

しかし、手に取るととにかく重い。収納できる本の数も少なく、立てかけた本は丸い鉄の塊で固定するというシンプルな仕組みなので、複数の本を並べると、崩れてしまうこともある。それでも、本をバランス良く並べ、丸い鉄の塊で固定したそのトータルの姿は、とにかく美しかった。お気に入りの本を並べることを楽しむ、その行為を一番理解してくれたのが、このブックスタンドだった。常識を取り払った類をみないものと出会ったときの喜びは、何年経っても色褪せることはない。錆びても魅力がさらに深まるブックスタンドは、生涯愛用していくこととなるだろう。

information
LITTAI METAL WORKSの鉄のブックスタンド
LITTAI METAL WORKSの鉄のブックスタンド

LITTAI METAL WORKS
http://littai.ti-da.net/

  • 文・ 草々草々
  • 写真・大湾朝太郎

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