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第 47 話

沖縄の宝は「人」である

[今回の書き手]新里清明さん
2016.07.01

僕の名前は、新里清明です。
祖父の清篤がつけてくれた名です。

戦時中、祖父には別の家族がいて、子供たちには全員名前に「清」がついておりました。
しかし、その家族を、対馬丸事件で全員失う事となり、戦後、僕の今の祖母と結婚しました。生まれてきた僕の親や親兄弟には「清」をつけずに、孫の中で僕だけに「清」を授けてくれました。

清く、明るく生きていこうとただただ純粋に思っていただけだったのですが、2年前、祖父の昔の家族を含め、対馬丸事件で亡くなった方が祀られている「小桜の塔」に手を合わせに行った時、自然と涙があふれました。
その時、僕はこの人たちの分まで生きているんだと、実感しました。
言い方は悪いですが、この人たちが亡くなって、今の僕があり、生かされています。
そして、僕の後ろにはいつもこの人たちがついていてくれます。
人の為に自分が出来ることを精一杯やっていこうと、改めて強く思った瞬間でした。


さて、話はさかのぼり、僕は23歳でイギリスに留学し、そこでジュエリーに出会い、ロンドンの芸術大学でジュエリーを学びました。
帰沖し、修業した後、東京からではなく、あえて、沖縄から世界へ!という気持ちでVIVONを起ち上げてから今年で2年経ちます。

帰沖して気づいた事は、沖縄の人々の感性は豊かで素晴らしいのに、沖縄ブランドは世界ではおろか、日本でもいまいちぱっとしていない現状があるという事です。

そこで、僕は、沖縄のクリエイターたちを集め、ゆいまーるの精神で、一人では成し得ない、みんながいてこそのものづくり、沖縄から爆発的な影響を世界に発信するための作品作りや、写真・映像撮影、等を行い、独自の世界観を作り上げています。
今ある技法やセオリーにとらわれず、新しいもの、他にないものを模索しながら、毎回
表現しています。

同じく、ロンドンの芸術大学でジュエリーを学んで、昨年帰沖した妹と共にVIVONの可能性をさらに広げようと、ジュエリーのみならず、メガネの産地で有名な鯖江の職人とのコラボでVIVON
EYEWEARラインの展開、沖縄の革ブランド AL・MONDOとのコラボでは革製品、革アクセサリーの展開なども行っています。
妹の活躍ぶりもあって、9月にはLAで行われるエミー賞のレッドカーペットのギフトラウンジにも作品を展示する機会を頂き、今はそれに向かってお互い作品作りに励んでいます。

将来的には、沖縄でアートの教育が出来るような環境を作っていきたいです。
残念ながら日本では海外のように芸術を学べる場所が、感受性を育てる場所が足りません。もちろん日本にも素敵なところはたくさんあります。技術においては海外よりも長けています。しかし、デザインの大切さや、新しい世界観を作ることに関してはいまいち重点が置かれてないように感じます。右向け右の教育だけではなく、表現の自由、人と違っている感性が素晴らしいのだと、それが新しいものを生み出していくのだという心を育てていきたいのです。
今現在、沖縄の琉美インターナショナルビューティーカレッジのジュエリー科で、講師として、やれることから始めています。

やりたい事がありすぎて、目指すものが大きくてすべて書ききれませんが、これからの僕の活躍を是非見ていてください。
沖縄の為、日本の為、未来の子供たちの為に自分が出来る事は何か、考えながら自分なりの表現を発信していきます。

宜しくお願いします!

p1_DSC01089.JPG
仲良くしてもらってる写真家の池田慎治さんに僕を表現してもらった一枚。

p2_L1566866.jpg
330号沿いでわかりにくいですが、店構えです。

p3_akikoshinzato clown1.jpg
妹のAkikoがロンドンでグランプリを受賞した作品。

●VIVON(ヴィヴォン)
営業時間:12時〜19時(不定休)
〒901-2104 沖縄県浦添市当山1-7-7
電話番号:098-917-1290
URL: http://vivon.jp/home2

新里清明さん
新里清明Shinzato Kiyoaki

23歳で渡英。4年間、英語とジュエリーを学ぶ。
帰沖し、2年半師匠のもとで修行後、VIVONを起ち上げる。
今年4月からは、VIVONデザイナーの仕事と並行して、
琉美インターナショナルビューティーカレッジ、ジュエリー科の講師も務める。

次回の書き手は
新垣辰紀さん

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