つくる人と食べる人をつなぐ、暮らしと食のマガジン

おきなわいちばは
3、6、9、12月の5日発行

エッセイのリレー

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私が15歳のときにみた夢のこと。それはそれは、美しい山と湖の夢だった。
神秘的で、シンとした、透き通った湖。
その真ん中にぽつんとおじぞうさんがいる。
湖の向こう側には、朝日を受けてキラキラに輝いた美しい山が!
木々の一本一本が光輝いて
「わぁきれい!」と思ったとき、目が覚めた。

この夢はいったい何だろう。
10数年たった今でも、目の前に浮かぶほど強く印象に残った夢だった。
当時、この夢がどうしても気になった私は
夢占い師に鑑定をお願いすることにした。

すると、このようなお返事が来た。

「湖はあなたの心の状態を反映します。おじぞうさんがいるのは、あなたが救いを強く求めていることを表します。湖の向こう側の山は、あなたが入るべき社会全体や生活を象徴しているようです。木々の一本一本は、あなたを取り巻く人々です。今のあなたは、まだその山の中に入っていないようです。あなたの好きな絵でもいい、音楽でもいい、詩でもいい、何らかの形で、社会の中へ一歩を踏み出してみませんか」

当時ひねくれ真っ最中、マイナス思考、根暗な私は
あの美しい木々が人間であるはずがないと断定し
この夢占い師は当たらないと結論づけた。
しかし、手を伸ばせば触れられそうなくらい本当にリアルな夢で
不思議だと思いつつ、記憶のすみに片付けていたのである。

旅行などに興味もない私。
それが、沖縄出身の歌手Coccoの沖縄限定CDが出ると聞き
ファンの私は「え?これは私に沖縄に行けってこと?」
16歳だった。
言い出したら聞かないとあきらめている親は
「気を付けていってらっしゃい」

初めての一人旅。
空と雲を見ると「沖縄だ!」と感じた。
海が本当に青くてびっくりした。
まるでここが竜宮城じゃないか。深く感動して大阪に帰った。

その後、むくむくと心によみがえる沖縄。
ああまた沖縄に行きたい…。
そう。私はいわゆる沖縄病患者になったのである。
そしてそれはかなりの重病。
沖縄に行くためせっせとバイトの日々。

それから2度目3度目…何度沖縄へ来たのやら。
気が付くと熱く面白い沖縄人
沖縄好き大和人
多種多様の人との奇跡のような出会い。
沖縄で出会った人たちから、私は宇宙人と名付けられ、
とても可愛がられた(?)のである。

またそこで出会った人のご縁が続き
運命なのかはたまた偶然なのか
大阪で琉球舞踊を始めることになったのである。
「大阪で沖縄の風を感じられるのなら」
軽い気持ちで始めた踊りで、大学院まで行くとは全く想像もしておらず
人生は本当に面白い。

このエッセイを書くことになり
はたと思い出したのが最初に述べた山と湖の夢である。
沖縄で出会った、ちむぐくるを持った人たち
琉球芸能の世界で真摯に生きる人たち
友達、家族、私の周りみんな
あのキラッキラに輝いて美しい木々だったのだ。

そして、15歳のときに夢で見た美しい山に
私は少しずつ少しずつ登り始めているのである。

fukushima111.jpg古典女踊り「諸屯」の扮装の福島さん

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富士山でのご来光       沖縄の暮らしを楽しんでます                      

PROFILE

福島千枝(ふくしま・ちえ) さん

1984年大阪生まれ。
沖縄県立芸術大学 琉球芸能専攻 琉球舞踊組踊コースを卒業後
同大学修士課程に進学。
現在大学院2年。食べること、お茶、雑貨をこよなく愛する。

2013年1月26日(土)18時より沖縄県立芸術大学奏楽堂「修士演奏」において、
組踊「執心鐘入」の宿の女を演じる。

平成24年度 沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科 修士演奏
(学位審査公開演奏会)のお知らせ。(PDF)
http://www.okigei.ac.jp/news/photo/2013_syusi_ensoukai_Ver.1.0.pdf

 

2013.01.01

 

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