つくる人と食べる人をつなぐ、暮らしと食のマガジン

おきなわいちばは
3、6、9、12月の5日発行

エッセイのリレー

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沖縄のおみやげについて考えている。

気がつけば沖縄に住んで6年近く経ち、今でも仕事で東京や内地は頻繁に訪れる。
その時にお世話になっている人にお土産を持っていくことがあるのだが、
最初のうちは悩まなくてもよかった。
黒糖など代表的な沖縄土産を手渡せば、先方も

「お!黒糖!沖縄だねー!いいねー!」

なんて返事の一つでも返してくれていた。
いわゆる「THE沖縄」のお土産はとても伝わりやすいのだ。

だが6年も住んでいるといよいよ手持ちのTHE沖縄の魅力にも陰りが出てきたのを感じる。
そりゃそうだ。黒糖なんてそうそう消費するもんじゃない。
2、3ヶ月毎に毎度ゴロっとした無骨な黒い塊を届けられる方はたまったもんじゃない。

「アイツ、今回は西表産くれたな。まだ試したことないから楽しみだよ。
 前回は波照間産、その前は与那国産だった。次は粟国あたり欲しいな。
 粟国産、ぶちキマるらしいよ。」

なんて奴はいない。かといって

「黒糖10袋たまったら、次の選挙にでて黒糖大臣に立候補したい。
 選挙カーで流す音楽は、バブルガムブラザーズのSOUL大臣だ。」

なんて奴がいたら、そいつは狂っている。

いや気の利いたお土産がなくなっていることが問題だ。

その問題に悩まされて数年、先日たしか宮古島の空港だったと思うが、
お土産屋の店先でとんでもない代物をみつけた。

『子宝ちんこすこう』

誤植ではない。
わざわざ説明するのも馬鹿らしいが、ちんすこうと下ネタのマリアージュである。
今まで沖縄土産としてはあまりにもベタだろうと
若干敬遠していたちんすこうの棚に燦然と輝いて並んでいた。
いや黒光りしてそそり立っていた。

下ネタというかエロと何かの掛け合わせというのは特に珍しくはない。
最近のVR技術のアダルトビデオへの応用など、古今東西において、文明、
テクノロジーの発展とエロは常に密接な関係性の上に成り立っている。
しかしエロはあまり表舞台には出てこない。
そういう意味で、この『子宝ちんこすこう』は沖縄の伝統銘菓に下ネタ、
しかも県の玄関口である空港で売るというのはかなりの冒険なのではないか。

そしてこれがOKならお土産にとどまらないで、
もっと沖縄の様々な事柄に応用ができるんじゃないか。
沖縄の良さをもっと県外の人に広く伝えたい。

6月のちょうどこの時期。
沖縄南部の糸満市では『糸満ハーリー』というお祭りがある。
これが行われるとそろそろ梅雨明けという沖縄の季節の風物詩である。
ただこれだけ聞いても県外の人には何なのか伝わりにくいと思う。
なのでこう呼ぶことを提案したい。

『何マン?ハーリー』

もっと伝わりにくいし何か卑猥で嫌だよ。

そして最近の沖縄問題の横綱といえば、米軍基地の辺野古移設だ。
へのこ、と読む。この呼び方も提案したい。
『へのこ』ではなく、これからは『あの子』だ。

「ほら?あの子どうなった?」
「いやまだどうにもなってないよ。全然事態は良くならない。」
「あの知事、本当にあの子に興味持ってるのかな?
 あの子の事、本気で変えようとしてる?」
「いやどうなんだろね。
 俺はただ1993年の夏の、あの子の綺麗なサンゴ礁が忘れられない。」
 

もうごめんなさいとしか言えないが、あの子も沖縄も大好きだ。

 

PROFILE

武山 忠司 (Takeyama Tadashiさん

1979年岐阜生まれ。2011年に東京から沖縄へ移住。
机という屋号でウェブや紙のデザインをしています。

沖縄のデザイン会社 机
http://tsukue.jp/


2017.6.1

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