つくる人と食べる人をつなぐ、暮らしと食のマガジン

おきなわいちばは
3、6、9、12月の5日発行

エッセイのリレー

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 守ー師の基本を守りしっかり身につける。
 破ー師の基本から他のやり方のよいものを取り入れていく。
 離ー守も破も超越して新しい自分の世界が開かれ自由自在になる。
 コーヒーの仕事をやり始めてから、よく意識する言葉です。コーヒーは簡単なものではなく、難しいのは、やればやるほど難しさが分かるということでした。それは今でも思っています。お店を始めたころ、作られたコーヒーは美味しいけどなにか違うというか、ピントが合っていないように感じる時期がありました。そんななか、これはきっと技術的なことではなくモノの本質を捉えきれていないのではないかと感じ、基礎から徹底的にやると決め、ここで「守破離」を意識したのです。

 お店を始めたのは、2006年12月、那覇市栄町市場にて。
 このときはまだ、日本におけるコーヒーの情報を集めるべく、頻繁に東京に出向いてはコーヒーマイスターという資格を取ったり、バリスタ選手権に挑戦するなどしました。さらに視野を世界へと広げていきました。コーヒーを消費する文化が成熟しているのはヨーロッパです。各地に足を運びました。当時1人あたりの消費量が世界ーと言われていた北欧フィンランドから世界バリスタチャンピオンが最も出ていたデンマーク、そんな世界の流行には目もくれないイタリア、そのエスプレッソ文化。そして消費国の次は生産地。今は台湾に通って生産者と直接話しができるようになり、ここだけしかない豆も送ってもらっています。いずれも自分には劇的な体験で、これを噛み砕いて落とし込んでいくとピントがどんどんあってきて、今はしっかりとコーヒーとの距離感が縮まっていくのを感じています。

 近道しようとせず、まずはしっかりそのモノの歴史も含めて基本を大切にすること、またそのやり方は違うといわれるタブーなやり方でも、自分であえてやってみて理解すること。このような試行錯誤を積み重ねていくうちに、今まで集めていたパズルのピースがある日突然すべてはまって絵が見えるという感覚、俯瞰できるという感じが得られてきました。なんだかこれかなと思いました。

「守破離」が導いてくれた感覚。座右の銘になりそうです。


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バリスタ選手権にて            ローマの焙煎人

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台湾南部のコーヒー畑からの景色

PROFILE

山田 哲史(やまだ・てつじ) さん

1977年長野県生まれ
2006年自家焙煎 COFFEE potohoto オープン。
2年前から美味しいコーヒーの豆を求めて自ら生産地に行くプロジェクトを開始。現在は台湾中南部のコーヒー栽培地へ。


 

2014.02.01

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これまでのエッセイ

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