つくる人と食べる人をつなぐ、暮らしと食のマガジン

おきなわいちばは
3、6、9、12月の5日発行

エッセイのリレー

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沖縄に帰って来てから、10年になります。

高校卒業後、大学への進学のため沖縄を離れて
京都に5年、大阪に2年、合計7年ほど関西に住んでいました。

関西のスタジオで写真の修業をしていた頃
町中で出会った
この人はかっこいいなと思う人に声をかけて
写真を撮らせてもらっていました。
モノクロのポートレート写真です。

その中で写真をやっていて良かったなと思う出来事が一つ。

確か梅田の駅前だったと思うのですが、
ティッシュ配りをしているお兄ちゃんがいて
髪の毛はドレッド、顔中ピアスだらけで
遠目で見てもだいぶ目立っていました。

声をかけ、写真を撮らせてもらえないかと頼んでみると
いいですよ、とのこと少し話しながら写真を撮らせてもらいました。
ピアスは全部で20個とのこと。

お礼をし、後日写真を送りました。

それから数週間後、自宅に手紙が届きました。
見た事もない名前だったので、誰だろうと思い開封してみると、
先日写真を撮らせてもらったドレッド兄ちゃんのお母さんからでした。

「息子の”今”がとても良く写っていて、二十歳の記念になりました。
彼も何年かあとにこの写真を見て、懐かしく思う時が来るでしょう。
ありがとうございました」

自分の写真が誰かの役に立てた事がとても嬉しく、
まだまだ修業中の身の自分にとって、大きなモチベーションになりました。

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話は変わりますが、この10年の間に
沖縄の景色もだいぶ変わってきた事を実感しています。

無くなってしまったものは、
ピザハウスのちょっと薄暗い店内、
ライカム交差点でロストボールを売っていたおじさんと、
奥にスロットマシンのあるレストラン、
ゴヤ十字路の歩道橋、銀天外の入り口、牧志の古い床屋さん、
那覇の東町会館、読谷の滑走路跡、アジアホテル、
などなど挙げだしたらきりがないのでこの辺りで。

そのかわりに出来たもの、増えたのが
全国チェーンのファーストフード、大型スーパー、高層マンション、
ショッピングモールなどといった日本全国どこにでもありそうな
ツルっとして、ビカビカして質感のあまりない建物や風景です。

写真は、古い物や質感のあるものと相性がいいなと
個人的に思っています。

例えば、色あせた水色のペンキの壁の前に少女が立っているだけで
写真にはストーリーが生まれるかもしれません。
(見る人個人個人が感じるものではありますが)

薄暗い店内の古いピアノの椅子に腰掛けるだけでよかったりするのです。

そんな風情のある風景がどんどん無くなっていく中、
沖縄の今を写真に収める事で、もしかしたら後々
誰かに喜んでもらえるかもしれないなあ、
などと思いながら今日もカメラを持ち出すのです。
 

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心象風景を写真に残して

 

PROFILE

島袋 常貴(しまぶくろ・つねたか) さん

1976年生沖縄市生まれ。
京都産業大学卒業後、大阪の広告写真スタジオ勤務。
帰沖後、フリーランスのカメラマンとして雑誌や広告等で写真を撮影。

2013.10.01

 

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